モータージャーナリスト=清水 和夫 氏 天下のトヨタが大赤字! 連休明けの5月8日、トヨタが決算発表を行った。平成21年(2009年)3月期は金融危機を引き金とした“自動車危機”が世界中を襲い、年間生産台数が750万台まで減少した。その結果、4610億円の赤字を計上。07年度の3月期の2兆円の経常利益から一気に大赤字に転落した。 トヨタではさまざまな策を講じるが、2010年3月期の業績予想はなんと8500億円の赤字になる見通しだという。その衝撃が覚めやらない5月18日、新型「プリウス」が発表される。事前の受注予約では6万台を上回る大フィーバーぶりである。 渡辺捷昭社長も述べているように、新型プリウスはホンダ「インサイト」と並ぶ自動車危機の救世主として期待されている。しかも、4月1日から施行されている「エコカー減税」や、これから実施されそうな「スクラップ・インセンティブ(エコカーへの買い換え
「ハイブリッド車は構造が複雑過ぎて、整備しようにも手が出せない」。都内のある自動車整備会社の社長は「お手上げだ」と言うように話す。 エンジンとモーターを動力源とするハイブリッド車。その構造は非常に複雑だ。ホンダのハイブリッド車「インサイト」のボンネットを開いてみると、様々な部品が密集していて、すき間がない。ガソリン車に比べて増えているのは電子部品だ。 1990年代以降、クルマはパワーウインドーやABS(アンチロック・ブレーキ・システム)、エアバッグなど快適や安全を求めて電動化を進めてきた。クルマに電子部品が新しく導入されるタイミングを捉え、自動車産業に参入してきた企業も少なくない。 そして、その最大の好機が「ハイブリッド車」の普及だ。インサイトやトヨタ自動車の「プリウス」など、普及を狙った廉価なハイブリッド車の売れ行きには、部品業界も熱い視線を送る。 ガソリン車よりも売り上げが大きい ハイ
5月18日の発売からわずか1カ月で約18万台の受注と、空前のヒットとなったトヨタ自動車の新型「プリウス」。納車まで7カ月待ちという状況だ。 クルマとしての性能はもちろん、このヒットの裏側には、トヨタの「ここまでやるぞ」と言わんばかりの徹底した販売戦略があった。 旧モデルも残して販売 まず、自動車業界を驚かせたのは、旧モデルをそのままの名前で残すという販売戦略だ。これまで、新モデルと旧モデルの併売はカニバリゼーション(共食い)を引き起こすリスクなどもあり、できるだけ避けてきた。例外的に実施するケースでも、仕様を変えて車名も異なるものにしてきた。 ところが今回は、旧モデルの装備を簡素化し、車体価格189万円に引き下げて「EX」というグレードで販売を続けている。この価格は、新型プリウスの3カ月前に発売されたホンダの「インサイト」と同じだ。旧モデルを値下げして、先に走り出したホンダに価格帯を合わせ
世界的な販売低迷に苦しむ自動車業界。長年、世界最大の自動車メーカーとして君臨してきた米ゼネラル・モーターズが経営破綻し、トヨタ自動車も大幅赤字に転落した。 厳しい環境が続く中、市場拡大が見込まれるのがハイブリッド車だ。日本ではエコカー減税をはじめとする政府の支援策もあり、4月にはホンダの新型「インサイト」が、5月にはトヨタの新型「プリウス」が車名別月間販売のトップに立った。 「日経ビジネス」では2009年6月22日号の特集で「ハイブリッドカー 自動車産業の救世主なのか」を掲載。拡大するハイブリッド車ビジネスを取り上げている。その連動企画として、「日経ビジネスオンライン」では開発のキーパーソンのインタビュー、関連業界の動向などをお届けする。 第1回目となる今回は、トヨタのハイブリッド車技術開発を指揮してきた瀧本正民副社長(技術開発担当)に聞いた。
米国PICC社(プラグ・イン・コンバージョン・コーポレーション)は、先代トヨタ『プリウス』用プラグイン改造キットのソフトウェアを進化させた。 PICC社は2007年6月、カリフォルニア州に設立されたベンチャー企業。米国内で先代プリウスを家庭用コンセントから充電できるようにする、「プラグインコンバージョンキット」を販売している。 今回はそのソフトウェアをアップデート。先代プリウスの「EVモード」は、モーター単独での最高速は54.7km/hが限度。これをアップデートにより、2倍以上の112.65km/hまで高めることに成功した。この速度を維持したまま、約40kmをモーターのみで走行できるという。 アップデートによりモーターの使用範囲が拡大したため、燃費は劇的に向上。高速道路では72.28km/リットルという驚異的な燃費をマークする。アップデート費用は2000 - 2500ドル(約19万6300
報道関係者らに公開された新型プリウスの生産ライン=8日午後、愛知県豊田市のトヨタ自動車堤工場、岩下毅撮影ハイブリッド車にはインバーター(中央)が、ガソリン車にはバッテリーが取り付けられる混流生産ライン=8日午後、愛知県豊田市のトヨタ自動車堤工場、岩下毅撮影確認検査工程を次々に流れてゆく新型プリウス=8日午後、愛知県豊田市のトヨタ自動車堤工場、岩下毅撮影 トヨタ自動車は8日、堤工場(愛知県豊田市)の新型プリウス生産現場を、報道陣に初公開した。世界的な販売不振の影響で同工場も減産を余儀なくされていたが、現在は新型プリウスの好調な受注を受け、4月からは残業も復活。ほかの工場から人的応援も受け、当面は月産約3万台のフル稼働状態が続く見通しだ。 堤工場は、トヨタのハイブリッド車の主力工場。生産ラインは2本あり、旧来のプリウスの生産には1本しか使っていなかった。だが今回、トヨタは新型の販売拡大をに
新型トヨタ『プリウス』のインテリアは、情報を表示するためのディスプレイゾーンと、各種の操作を行うコマンドゾーンとを分離したレイアウトとなっている。 2代目プリウスのインテリアは、視線や使い勝手あるいは造形について、左右の移動を考慮したデザインとなっていた。 今回はよりコックピットを意識して、人を中心に操作系を意識したレイアウトとした。それにより、人が認知も操作もしやすいデザインになるように心がけたというのは、トヨタ自動車デザイン部の大石悦也さん。 「シフトbyワイヤのノブを中心として放射状にボタンを配置し、指のリーチに合わせて操作をしやすくしました。また、タッチトレーサーの部分はステアリングのスイッチに指をかざすと、メーターの中に自分の指がどこにあるかをポイントで示して、視点移動をすごく少なくして、操作できることに配慮しました。これらはデザインと電気的な技術の両立で初めて実現できたのです」
トヨタが2009年5月18日に発売した3代目「プリウス」は、1.8Lガソリンエンジンとモーター、リダクションギアを組み合わせたハイブリッドシステム「リダクション機構付のTHS II」を搭載。エンジン、トランスアクスルの高効率化と、モーターやインバーターなどの小型・軽量化・高効率化を図り、システム全体の90%以上を新開発した。 新型プリウスは、世界トップレベルの空力性能(Cd値0.25)など車両全体でもエネルギー効率を向上させている。これらの相乗効果によって、世界トップの燃費性能38km/L(10-15モード走行燃費、Lグレードの場合)を実現。より実走行に近い測定条件のJC08モード走行燃費でも、32.6km/Lの優秀な値を記録している。それでいて動力性能は2.4L車並みと、「圧倒的な環境性能」と「走る楽しさ」を両立した。 ボディーは空力性能が優れた「トライアングルシルエット」をさらに進化さ
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