東芝は原発事業の失敗のツケを払うため、半導体事業の売却交渉を本格化させる。同時に、会社本体の再建に必要な主力事業を失うことにもなる。中堅・若手社員は迷走が続きそうな会社の将来をどうみているのか。 (伊藤弘喜) 「福島の事故が起きたのだから、原発は造らない方がいい。廃炉を除き事業から撤退すべきだ」。原発設備の溶接を手掛ける四十代男性は強調する。事故前は定期点検で東京電力福島第一原発を訪れ、事故後も汚染水タンクの据え付け工事に半年ほど取り組んだ。今では「東芝で原発を造っていると周りに言えない」。 「この半年で『原発に将来性はないから』と辞める若い人が増えた」が、自分は会社を辞めない。「私より上の世代は転職先がない。二人の子どもはまだ幼く、会社にしがみつくしかない」のが理由だ。「一生かけて廃炉に関わる」という使命もある。 IT部門の三十代男性も「損失の影響で新規事業が中断し、転職を一時考え
犯罪の合意を処罰する「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案は二十九日、参院本会議で審議入りした。金田勝年法相は、環境や人権の保護を掲げる団体でも、実態が組織的犯罪集団と認められれば構成員が処罰対象になる可能性があると認めた。だが、組織的犯罪集団かどうかを判断するのはあくまでも捜査機関。政府などに批判的な団体が認定される可能性がより高まった。 (土門哲雄、大杉はるか) 古川俊治氏(自民党)の質問に答えた。民進、共産両党は「市民運動、労働運動、政治活動、宗教活動などあらゆる団体に嫌疑がかかる懸念が生じないか」などと一般人が捜査、処罰される恐れを指摘した。 「組織的犯罪集団」に当たるかどうかを巡り、金田氏はこれまで「自然環境や景観の保護を主張する団体は目的が正当と考えられ、重大な犯罪を実行することにあるとは考えられず、座り込みを計画しても処罰の対象にならない」と説明していた。 この日、
岸田文雄外相は十一日の参院外交防衛委員会で、安倍晋三首相(自民党総裁)が憲法九条に自衛隊を明記する改憲を提案したことを巡り、九条改憲は当面不要とした自身の一年半前の発言について「考え方は変わっていない」と明言した。党総裁の首相とは考えに違いがあることを認め「九条については、世の中にいろんな意見がある」と指摘した。現職閣僚が首相の考えと違う発言をするのは異例。岸田氏は次期総裁選に意欲をみせている。 岸田氏は自民党の派閥・宏池会(岸田派)会長としての見解だと前置きし、民進党の藤田幸久氏の質問に答えた。岸田氏は九条改憲を不要と考える理由に、他国を武力で守る集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法の成立を挙げ「厳しい安全保障環境の中、九条や平和憲法との関係でどこまで対応が許されるのか。大変な議論を行い結論を出した」と強調した。
豊洲市場(東京都江東区)で都が実施した地下水モニタリングの再調査で、環境基準を上回る有害物質が検出されたことが17日、都関係者への取材で分かった。19日に開く「専門家会議」で報告する。小池百合子知事は築地市場(中央区)を豊洲に移転する可否について「再調査の結果を待ち、総合的に判断する」としており、難しい判断を迫られそうだ。 モニタリング調査は都が土壌汚染対策の効果を確認するため実施。1月に公表した9回目の結果で、ベンゼンが最大で環境基準の79倍に達し、検出されないことが基準のシアンも出た。関係者によると、今回の再調査でも同様に厳しい数値が出たとみられる。
学校法人「森友学園」が大阪府豊中市の国有地を小学校用地として格安で取得した問題で、財務省近畿財務局が2015年、施工業者との間で、地中の産業廃棄物の撤去費用を削減するため、用地内で処理する「場内処分」の方法で合意していたことが4日分かった。 用地のごみ撤去作業をした京都府内の処分業者は「掘り起こした産廃を含む土砂を敷地内に埋め戻した」と証言しており、埋め戻しが、事前に示し合わせた「場内処分」の意向に沿った結果だった可能性が出てきた。 場内処分の記述があるのは、施工業者作成とみられる打ち合わせ記録。
外務省は二十二日の衆院予算委員会分科会で、インドへの原発輸出を可能にする日印原子力協定に関し、輸出した原発が事故を起こした場合、「メーカーへの賠償責任が生じる可能性がある」と明言。インド国内法により日本企業に賠償を求められる可能性があると認めた。その上で、インド政府に国際条約に基づき、インドの電力会社が責任を負うよう働き掛ける方針も示した。賠償責任が曖昧なまま、日本の原発メーカーに輸出を促す安倍政権の姿勢が明らかになった。 文部科学省によると、原発事故の損害賠償責任は被害者の請求を容易にするため、電力会社が負うことが国際原則で、メーカーに請求が及ぶことはないという。ただ、インドの「原子力損害に関する民事責任法」は事故時、原発メーカーに重大な過失や欠陥があった場合、電力会社が原発メーカーに賠償請求できると規定する。 その一方で、インドは賠償責任を原則として電力会社に集中させる法整備を加盟各国
文部科学省の組織的な天下りあっせん問題で、再就職等監視委員会から脱法的なあっせんの中心人物と指摘された人事課OBの嶋貫和男氏(67)は7日、衆院予算委員会に参考人として出席し、同省職員らが加入する団体保険を取り扱う保険代理店から年500万円程度の収入を得ていたことなどを明らかにした。文科省OBが代々就いていた明治安田生命保険の顧問職を得て、月2日程度の勤務で年1000万円の収入も確保。天下りあっせんを担う嶋貫氏を、文科省関連組織が連携して資金面で支える構図が浮き彫りとなった。(小林由比、飯田孝幸) 再就職等監視委員会が一月二十日にまとめた報告書は、嶋貫氏による再就職あっせんについて「無償で行っているという説明には無理がある」と指摘。「直接の報酬が支払われなくても(文科省が)実務負担が軽く年収の大きな再就職先を複数あてがうこと」があっせんの動機づけになったと批判している。一方、嶋貫氏は七日の
東京都品川区が待機児童解消策として、公設民営で今年四月に開園した認可保育所「区立ひろまち保育園」の保育事業者が、開園からわずか一年で交代する見通しとなったことが分かった。区は、委託している社会福祉法人の運営費の使用方法に、不透明な部分があることを問題視。本来は五年間の契約だったが、来年三月で契約を解除する合意文書を十九日にも法人側と交わす。園は存続するものの、民間委託の保育の質が問われている。 (神野光伸) 区が公設民営で開設したのはひろまち保育園が初めて。定員数は区で最大規模の三百人。現在、約三十人の保育士が勤務し、約百八十人の園児が通っている。区は公募に応じた複数業者から、各地で保育園を運営する社会福祉法人「夢工房」(本部・兵庫県芦屋市)を選んで委託。経験豊富な点などを評価したという。二〇二一年三月までの五年間の契約で、毎月二千二百万円を運営費として補助してきた。 法人を巡っては、兵庫
原子力規制委員会が三日、運転開始から四十年の関西電力美浜原発3号機(福井県)の運転延長に道を開く判断を示した。美浜1、2号機は廃炉が決まり、一基だけが残る。再稼働には老朽化対策や新規制基準を満たす膨大な費用がかかる一方、出力は決して大きくない。関電がそこまでして3号機を残そうとする背景には、美浜の地に大型原発を新設する可能性を残そうとする思惑が見え隠れする。 (塚田真裕) 美浜3号機を新基準に適合させる費用は、千六百五十億円にのぼる。先に運転延長が認められた関電高浜1、2号機(福井県)の対策費は一基あたり千六十億円で、美浜3号機はかなり割高だ。想定される地震動が大きく、各所に耐震補強をし、使用済み核燃料を収納するラックを頑丈なものに取り換える必要が出た。原発の熱を海に逃す海水ポンプを、津波から守る大規模な防潮堤の新設も迫られたためだ。 その一方で出力は八二・六万キロワットと、百万キロワット
東京都議会(定数一二七)で、小池百合子氏を知事選で支援したのは、勢力順位六位の会派「かがやけTokyo」(旧みんなの党、三人)だけ。増田寛也(ひろや)氏を推薦した自民と公明、鳥越俊太郎氏を支援した共産、民進などが大多数を占める都議会で、小池氏がどう理解を得ていくかが焦点になる。 小池氏は選挙戦で、都議会との対決姿勢を打ち出したが、三十一日夜、当選後の会見で「都民のためになる政策の実現に向け、連携を取りたい」と説明。都議会の解散には議会側による知事不信任案の可決が必要だが、「これだけ多くの民意を得た私に不信任というのは、現実には難しいのではないか」とけん制した。 自民党都連会長の石原伸晃経済再生相は三十一日夜、増田氏の支援者らに「完敗だった。力不足で申し訳ない」と述べた。公明党都本部代表の高木陽介衆院議員は、小池都政との関わり方について「都民の意思を尊重していくのが第一」と記者団に語った。
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