改正政治資金規正法などが成立した通常国会は閉会したが、自民党内で岸田文雄首相の交代を求める発言が相次ぎ、首相への逆風は収まる気配がない。毎日新聞の22、23日の世論調査で岸田内閣の支持率は前回から3ポイント下落の17%まで落ち込んだ。23日には菅義偉前首相が首相交代に言及するなど党内の退陣圧力は強まっており、親岸田・反岸田の対立も顕在化してきた。 首相は通常国会が事実上閉会した21日の記者会見で、総裁選出馬を明言しなかった一方で、経済再生や政治改革、憲法改正など「道半ばの課題」について「一つでも二つでも結果を出すよう努力する」と語り、出馬に意欲もにじませた。 だが、翌22日には自民党茂木派の東国幹衆院議員(北海道6区=当選1回)が茂木敏充幹事長も出席した北海道旭川市での党会合で「ゆめゆめ再選などと軽々しく口にせず、思いとどまって、むしろ自民に新しい扉を開く橋渡し役を担っていただきたい」と述
岸田文雄首相(右)と会談する公明党の山口那津男代表=首相官邸で2024年5月31日午前10時32分、和田大典撮影 行き詰まりかけた修正協議が急転直下、トップ会談で動いた。政治資金規正法改正を巡り、岸田文雄首相(自民党総裁)は31日、公明党、日本維新の会の党首と個別に会談。両党の要求を法案に反映させることを受け入れ、今国会中の法改正に道筋を付けた。舞台裏で何があったのか。 「ギリギリの場面で首相の決断が示されたことを大事にしたい」。31日午前、首相官邸で岸田首相と会談した公明の山口那津男代表は、公明の要求に応じた首相の判断を「英断」と持ち上げた。 自民は参院で単独過半数を持たず、法案成立には公明の協力が不可欠だ。だが、自公の協議は政治資金パーティー券購入者の公開基準額などを巡り、最後まで難航していた。 …
立憲民主党の蓮舫氏が東京都知事選への立候補を決めたのは、4月の衆院3補欠選挙(東京15区、島根1区、長崎3区)、26日の静岡県知事選での勝利を追い風に首都決戦でも勝負をかけ、政権交代への原動力とするためだ。現職の小池百合子氏を支援する予定の自民党は予期せぬ蓮舫氏の登場に危機感を強めている。 「党の顔」擁立に重み 「自民党政治の『政治とカネ』の体質に対して大きな怒りの声がある。自民党政治をいったん終わらせなければいけない。変節して自民党返りをしている小池さんでは改革はできない」。蓮舫氏は27日の記者会見で、国政と絡めて立候補を決めた理由を説明した。「本気で勝ちにいく」。立憲幹部は、蓮舫氏擁立の理由をそう説明した。 立憲にとって、蓮舫氏の擁立は特別な重みを持つ。蓮舫氏は立憲の都内選出議員で最も知名度が高い「党の顔」だ。参院選東京選挙区で過去には100万票以上を集めたこともある。仮に蓮舫氏で首都
イスラエルのエルダン国連大使は10日、国連総会の壇上でパレスチナの加盟を支持する決議案に反対する意思を示すため、小型のシュレッダーを使って国連憲章を細断した。国連の基本文書である国連憲章は、「国際の平和と安全を維持する」など設立の理念や加盟国の権利などを定めている。 エルダン氏は決議案の投票に先駆けた演説で、各国の大使らに向かって「あなたたちは現代のナチズムに国連を開放した」「(イスラム組織)ハマスによる将来のテロ国家に特権を与えようとしている」などと批判した。最後に携帯用のシュレッダーを持ち出して国連憲章の表紙を切り刻むと、「恥を知れ」と吐き捨てるように言って壇上を後にした。 国連のハク副報道官は同日、加盟国大使による個別の言動にはコメントしないとしつつ、「今も昔も加盟国による芝居がかったプレゼンテーションはあった」と言及。国連憲章の冊子を手に取り、「国連憲章の理想は無傷だ。この組織が存
「生活保護の利用者に生活費として保護費を1日1000円しか支給せず、国が定める基準(月額約7万円)の半分程度しか渡していなかった」 「数十年にわたって生活保護世帯から預かった印鑑を計1948本保管し、本人の同意なく職員が書類に押印していた」 昨年秋以降、群馬県桐生市の生活保護行政で、法律を逸脱した異常な運用が行われ、住民に対する人権侵害も頻繁に起きていたことが明るみに出た。 「あまりにも不適切」 4月9日、参院厚生労働委員会で桐生市の生活保護問題について質問された武見敬三厚生労働相は、「私も聞いてびっくりした。あまりにも不適切だ」と述べ、保護費を分割した上に満額を支給しない手法について「生活保護法が規定する生活扶助の実施方法に適合しない」と、違法との認識を示した。 生活保護の申請をさせない「水際作戦」については、桐生市が設置した第三者委員会や群馬県の特別監査で調査中としながらも、「申請させ
世界都市博覧会のメイン会場となる国際展示場を視察し、説明を聞く青島幸男氏(中央)=東京都江東区有明で1995年4月20日、平野幸久撮影 パビリオンの建設遅れ、予算の上振れ、盛り上がらない機運……。開催まで1年余となった大阪・関西万博は、問題が噴出している。さらに能登半島地震が発生したことにより、多大な税金がつぎ込まれる万博への風当たりは強まるばかりだ。この状況を、30年ほど前と重ね合わせる男性がいる。東京での世界都市博覧会(都市博)を中止した元都知事・青島幸男氏(2006年に74歳で死去)の特別秘書を務めた辺見広明さん(73)だ。 <主な内容> ・なし崩しの公金投入 ・都市博の時と「同じ空気感」 ・圧勝の都知事選で変わった潮目 ・揺れる青島氏、犬は胃潰瘍に ・「開催」と「中止」の資料に差 ・30年前の教訓とは 費用上振れで「強行開催」の批判も 政府は23年12月、万博にかける費用を公表した
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件で、清和政策研究会(安倍派)の複数の事務総長経験者が東京地検特捜部の任意の事情聴取に、パーティー券収入のノルマ超過分のキックバック(還流)の処理について、派閥の事務局長から会長に直接報告される「会長案件だった」と供述していることが関係者への取材で判明した。事務総長は詳細を知る立場ではなかったとし、政治資金収支報告書への不記載について派閥の会計責任者との共謀を否定しているという。 特捜部は安倍派の事務局長兼会計責任者の男性を政治資金規正法違反(不記載、虚偽記載)容疑で立件する方針で、2023年12月下旬以降、派閥の事務を取り仕切る事務総長経験者ら幹部議員への聴取を進めている。歴代事務総長の具体的な供述内容が判明するのは初めて。
上段左から塩谷立元文部科学相、松野博一官房長官、西村康稔経済産業相、下段左から高木毅国対委員長、萩生田光一政調会長、世耕弘成参院幹事長 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る問題で、最大派閥の清和政策研究会(安倍派)の主要幹部がパーティー券収入のノルマ超過分のキックバック(還流)を受けていた疑いがあることが関係者への取材で判明した。松野博一官房長官のほか、5人の名前が挙がっている。いずれも関連する政治団体の政治資金収支報告書に収支が記載されず、裏金となっていた可能性があるという。 名前が挙がっているのは、松野氏、高木毅・党国対委員長、世耕弘成・党参院幹事長、塩谷立元文部科学相、萩生田光一・党政調会長、西村康稔経済産業相。塩谷氏は派閥の事実上トップの座長で、他の5氏は安倍派「5人衆」と称され、岸田文雄政権を支える存在でもある。
辺野古の設計変更の承認を巡り、厳しい表情で報道陣の取材に応じる玉城デニー知事=沖縄県庁で2023年10月4日午後5時15分、喜屋武真之介撮影 辺野古移設反対の民意か、法に従う行政官の立場か――。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設計画を巡り、沖縄県の玉城デニー知事は4日、国土交通相が指示していた設計変更の承認に応じなかった。県敗訴の最高裁判決から1カ月間苦悩した末の結論。移設に反対してきた市民には安堵(あんど)が広がった。ただ、政府は直ちに、知事に代わって承認する「代執行」に向けた訴訟を起こす方針で、知事の苦境は続く。 沖縄県名護市辺野古への基地移設計画を巡り、玉城デニー知事は工事の設計変更を承認するよう求めた国の指示に応じなかった。最高裁で違法とされた「不承認」の処分を覆さない姿勢には批判も予想される。だが、知事が抵抗を続ける背景には「なぜ沖縄が重い基地負担を背負い続けな
立憲民主党「次の内閣」の閣議に臨む泉健太代表=衆院第2議員会館で2023年5月11日午後5時、竹内幹撮影 野党第一党としての存在感を維新に奪われた感のある立憲民主党。「それはメディアが作り上げた物語にすぎない」と語る泉健太代表に、田原総一朗が容赦なく突っ込んだ。怒号すら飛び交う白熱討論のなかから、立憲の現在とビジョンが見えてくる――。 田原「万年野党になる気か」 泉「中道リベラルのビジョンを見せる」 立憲民主党は一体どうなっているのか。先の統一地方選では、総議席は増やし、国政5補選でも接戦を繰り広げたものの、その後は維新「躍進」の陰に隠れ、野党第1党としての存在感が伝わってこない。直近世論調査でも、政党支持率では立憲9%、維新17%、「野党第1党としてどちらがふさわしいか」との設問には立憲25%、維新47%だった(5月20・21日、毎日新聞実施)。解散風がどこに落ち着くかは別にして、中道リ
質問が続く中、ステージのどんちょうを下ろして終了した説明会=福岡県柳川市の柳川市民会館で2023年5月30日午後8時40分ごろ、降旗英峰撮影 陸上自衛隊輸送機オスプレイの配備が予定されている佐賀空港(佐賀市)から近い福岡県柳川市で5月30日夜、九州防衛局と市による説明会があった。市民ら92人が参加した説明会では、防衛局から米軍も空港を使う可能性が示され、不安や反対の声が続いたが、市は予定の2時間を過ぎるとステージのどんちょうを下ろして終了させた。 防衛局は、大分県の日出生台、熊本県の大矢野原、宮崎県の霧島の3陸自演習場との往来にオスプレイが筑後地区や3県の上空を飛行するルート例を示した。参加者が「米軍も佐賀空港に来るのか」と質問したのに対し、防衛局は「常駐はしないが、使うことはあるかもしれない」と答えた。米軍機が操縦訓練をし、米兵が施設外に外出する事もありうるという。これに対し「米軍機から
岸田政権の原発政策について問題点を指摘する金子勝氏=2023年3月2日、「原発ゼロ・再エネ100の会」の公開動画から 超党派「原発ゼロの会」の指摘(上) 「この法案は根本的に欠陥がある。電力会社に60年を超え、原発を限りなく動かすインセンティブ(誘因)を与えることになる」。岸田政権が今国会で成立を目指す「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」について、金子勝慶応大名誉教授(財政学)はこう指摘する。一体どういうことなのか。 超党派の国会議員らで作る議員連盟「原発ゼロ・再エネ100の会」が3月2日、岸田政権が進める原発政策の見直しについて衆院第2議員会館で議論した。この中で金子氏は有識者代表として、国会議員や官僚らを前に法案の問題点を指摘した。 岸田政権は法案の中で、2033年度から電力会社に対する「排出量取引制度」の導入を目指している。この制度は政府が電力会社の二酸化炭素(
第2次安倍政権の約7年8カ月で、日本の民主主義がモデルチェンジしてしまったことを痛切に感じる。 民主主義が「決める人を決める」ところまでで止まってしまう。選ばれた人がどのような理屈でどのような政策をとるかはほとんど白紙委任され、説明責任を果たさない。これが「安倍デモクラシー」だ。 選挙は経ているし、言論の自由もある。民主主義といわざるをえないが、非常に限定された形で民主主義が作動するように変わってしまった。 抵抗力が無くなった いわゆる55年体制の時代は、野党も世論ももっと抵抗力があった。よく、比喩的に(重要法案は1回の国会で1本しか成立しないという)「一国会一法案」などと言われたように、重要な政策転換はそう簡単にはできなかった。 しかし、今回の安全保障関連3文書の改定では、国会の議論もないまま閣議決定し、その後首相が外国に説明して、既成事実にしてしまう。いかにも国民と国会をバカにしたやり
恵方巻きの食品ロス問題を訴えるSDGsユニオンの荻田航太郎委員長(左)ら=東京都内で2023年2月1日、吉永磨美撮影 毎年、節分後に大量廃棄される恵方巻きについて、食品ロス問題の改善などを目指す労働組合「SDGsユニオン」が1日、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンのコンビニ大手3社に廃棄ロスの改善を求める要望書を提出した。その後に開いた記者会見で、食品廃棄作業を経験したコンビニ店員らの4割がそのストレスで退職したとのアンケート結果を明らかにした。 ユニオンの荻田航太郎委員長は記者会見で、コンビニ店長や店員に対する「販売ノルマの強要」などが廃棄ロスの要因になっていると指摘。荻田氏は「売れ残った商品を(マイナス分として)原価に含めずに計算し、食品ロスを加盟店に負担させるコンビニの仕組みが廃棄ロスを助長している」と強調した。
賃貸物件の入居を6回断られたというシングルマザーの女性=神戸市で2022年10月31日午後4時半、中田敦子撮影 家を借りたくても貸してもらえない――。家賃不払いの懸念や保証人がいないなどの理由で、住まいの確保に苦労する女性たちがいる。 シングルマザーや頼れる人のいない若者、困窮する留学生……。そんな女性たちを支援しようと、低家賃の共同住宅(シェアハウス)を整備する計画が神戸市で始まった。NPO法人が発案し、生活協同組合が空き部屋を提供する異例の取り組みは「住まいの貧困」を救うヒントになるか。 「やっぱり貸せない」。神戸市の女性(43)は2年前、アパートの賃貸契約を交わす直前で、大家から入居を断られた。女性はパート従業員で、小学生から高校生までの3人の子どもを育てていた。家を探していたのは、元夫のドメスティックバイオレンス(DV)から逃れるためだが、断られるのは6回目だった。
二つの側面 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党の主張は重なり合う部分が多いが、旧統一教会が自民党の政策全般を左右しているという見方は旧統一教会を過大評価することになりかねない。自民党に取り入るために、保守派の主張を掲げて運動している部分もあるからだ。 たとえば選択的夫婦別姓に反対しているが、韓国は別姓の国だ。教祖の文鮮明(ムン・ソンミョン、故人)と、妻だった韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁は別姓だ。つじつまが合わない。 一方で、同性婚については教義の核心に関わるため、敵視は徹底している。彼らの教義は、「文鮮明に清められた女性が文鮮明に指定された男性と結婚することで無原罪の子供が生まれて人類は救済される」というもので、同性婚を認めれば成り立たない。教団内でも同性愛敵視は徹底している。同性愛者の「宗教2世」の方からも苦しんだ話を聞いたことがある。 同性婚反対のように教義から出てくるコアな主
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党の関係を巡る記事などが読まれました。 ◇ ◇ 【1】<まるで「連立政権」 自民党と旧統一教会> 田中秀征 元経済企画庁長官 なぜ関係を断ち切れないのか。これほど関係が深いならばまるで「連立政権」ではないか。自民党は自浄能力を発揮すべきだ。田中秀征氏の指摘です。 【2】<安倍政権はなぜ選挙に勝ち続けたのか> 白鳥浩 法政大大学院教授 2012年に民主党政権から政権を奪還して以来、全国規模の国政選挙で6連勝した安倍元首相の力はどこにあるか。白鳥氏が分析しました。 【3】<国会に潜入したルポライターになる> 水道橋博士 参院議員 れいわ新選組から初当選した水道橋博士は、初めの臨時国会が「セレモニー」だったことに驚いたと言います。 <政治プレミアトップページはこちら>
値上げの秋です。スーパーで買い物をするたび、レジがはじく金額を見てぎょっとします。物価高にため息ばかりの読者も多いはず。そのさなかに自民党は……というお話です。何度となく取材してきた村上誠一郎・元行政改革担当相について、何やらキナくさい動きがあるのだとか。【東京学芸部・吉井理記】 そんなことやってる場合かね……というのが正直なところ。安倍晋三さんによる政権運営を「国賊」との表現で批判したとされる自民党の村上誠一郎元行政改革担当相について、最大派閥の安倍派(清和政策研究会)が処分を求めている一件だ。明日12日の党紀委員会で審査される。 「国賊発言」があったとされるのは9月20日の自民党総務会の後。会を終えた村上さんを、時事通信や朝日新聞、村上さんの地元・愛媛新聞といった各社の記者が話を聞こうと囲んだ時の出来事である。 時事通信によれば、この時、村上さんは安倍政権について「財政、金融、外交をぼ
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