島根県松江市にそびえる標高約29mの亀田山に築城された松江城は山陰地方唯一の,そして,日本で国宝指定された5つの天守のうちの1つ(国宝指定は平成27年(2015年))の城である。 同城が完成したのは慶長16年(1611年)のことで,同地を与えられた堀尾氏によるものだが,堀尾氏は寛永10年(1633年)に嗣子がなく改易,翌年,京極氏が入封するが京極氏もまた寛永14年(1637年)に嗣子がなく改易,翌年,松平氏が入封,そのまま明治維新まで同城を藩庁として存続した。 戦の歴史のない同城であるが,実は,奇怪な伝承が複数伝わる。 まず一つめは人柱に関する伝承である。 寛永15年(1638年),松平直政が同城に入封した際,天守において,「この城は私のものである,出て行け!」と言い放つ女性の幽霊を目撃したのだという。 調べてみると,堀尾氏が同城を築城した際,どうしても天守の石垣が崩れてしまう,これは地神