米東部時間11月5日に投開票されるアメリカ大統領選では、民主党のハリス候補と、時に真偽不明な発言を繰り返す共和党のトランプ候補が大接戦を繰り広げている。なぜトランプ氏は支持を広げるのか。NY在住ジャーナリストの肥田美佐子氏が、陰謀論に詳しいアメリカ人ジャーナリストのマイク・ロスチャイルド氏に聞いた――。
雑誌の廃刊・休刊が相次いでいる。その中で、週刊誌は部数を大幅に減らしながらも発行を続けている。なぜか。『MINKABU』編集長の鈴木聖也さんの著書『最近のウェブ、広告で読みにくくないですか?』(星海社新書)より、一部を紹介する――。 「老人ホーム」と化しているウェブメディア ウェブメディアが一般化し、出版社などで収益源として認められるようになっても、傍流という性質は本質的には変わらなかった。たしかに部署はできても、各部署のエースと呼ばれるような人はなかなか来なかった。とにかく人材がいないのである。 日本の大企業なんてそんなもんだろう。新規事業なんてくそくらえである。会社の未来のことを考えたら新規事業に人材を投入するべきだとしても、現状収益を上げている部署のリソースを簡単に明け渡すわけにはいかない。それが会社員というものであり、イノベーションのジレンマだ。 そんなこんなで、会社からやる気、実
なぜ「女性は運転が苦手」とされているのか 今年45歳で生まれて初めて教習所に通いました。 多くの教習所には「レディースプラン」という、女性限定のコースがあります。たいてい「検定試験に何度落ちても再試験料無料」などの特典が付いています。「女性は男性よりも運転が苦手」という前提があることを知りました。 改めて友人や知人に聞いてみると、ビックリするくらいペーパードライバーが多いことが分かりました。「20代の時に免許をとったけど、20年運転してない」という女性がとても多いのです。 教習もあと卒検を残すのみとなった頃に、男性教官からこう言われました。 「女の人はデパートに行ったら何を買うかいつまでも迷うでしょ。こう言っちゃなんだけど、男性のほうが決断力や判断力があるんですよね。女性は運転が苦手なのは仕方ない」 女性である私を励ますために言ったのだと思いますが、私はその時、まだ運転中にうまく会話するこ
マナー講師への厳しい批判の目 近年、マナーは炎上ネタの定番となり、ネットユーザーのマナー講師に対する批判の目は厳しくなっています。けれども、裏を返せば、マナーの話題はそれだけ人の興味を惹きつけているということでもあります。 炎上した際の投稿内容を見ると、ネット特有の言葉が連なり、日常生活ではあり得ない言葉遣いも散見します。しかしそれぞれの内容は、ごもっとも、と思える指摘も多いのです。 たとえば「人に会ったときはあいさつをするのがマナーです」という、だれもが疑問をもたないことを伝えるのに「人に会ってあいさつをしないのはNG」と言われたらどうでしょうか。実際にそうかもしれないけど「あんた、何様なの?」と言いたくもなるでしょう。 他方、「人に会ったらあいさつを心がけたいですね」と優しく笑顔で言われたなら、自然に「そうですね」「そうありたいですね」と思うのではないでしょうか。マナーというのはその内
プーチンがウクライナに侵攻した本当の理由 (前編から続く) ――プーチンは核の脅しの一方で、たびたび「停戦」についても言及し、2024年5月末にも口にしています。真意はどのあたりにあるのでしょうか。 【小泉】プーチンは「停戦を排除しない」と割合早い時期から言ってはいるのですが、これは実際にはウクライナに対する「降伏勧告」でしかありません。「停戦してやってもいい、ただしわれわれの条件をのむという前提で」ということですし、当然、併合したと主張している4州に関しては一切譲らない。 プーチンが戦争目的として当初から掲げているウクライナの「非ナチ化・非軍事化・中立化」についても、「まだ何も達成できていない」とプーチン本人が述べています。 戦争目的についても、実際のところはウクライナの領土を分捕るということ以上に、ウクライナの主権を認めないというところに本意があるように思います。 プーチンの世界観は「
ドラマ関係者なら誰でも思いつくシンプルな再発防止策 人ひとりが死んだというのに、結局、どっちも懲りていない。漫画『セクシー田中さん』の作者・芦原妃名子氏がドラマ化の過程で心労を重ね、それに関連したネットでの炎上を経て死に至るまでの調査報告書を日本テレビと小学館がほぼ同時期に発表した。そこには、もちろん今後の対策、改善点についても述べられているのだが、日頃、テレビまわりの取材をしている身としては、首を傾げざるをえなかった。そこでは、抜本的な再発防止策が示されていない。 今後は、漫画や小説のドラマ化の際、出版社・原作者とテレビ局間で詳細な条件を記した契約書を結ぶ(小学館の報告書には「原作利用許諾契約書」とある)。その契約の場に弁護士を入れる。もちろん、そういったガバナンス強化はしなければならない。しかし、今回の報告書では、それ以前に、現場レベルで今すぐできるはずの確実な対策がスルーされてしまっ
同社は2021年5月11日、「チケットレス化・モバイル化を推進し、『シームレスでストレスフリーな移動』の実現に向けた乗車スタイルの変革を加速します」と題して、オンライン化・チケットレス化の促進と、みどりの窓口を2025年度までに約7割(首都圏は231駅から70駅程度、地方では209駅から70駅程度)削減すると発表していた。 みどりの窓口は現時点で目標の半分程度、209駅まで削減されているが、当面はこの数を維持する。また、閉鎖直後で設備が残る一部の駅では、利用に応じて臨時窓口を設置できるようにする。 コロナ禍ではさまざまな分野でオンライン化やキャッシュレス化が加速した。業務の合理化のみならず、さらに高度なサービスの提供にはデジタル化が不可欠であり、JR東日本はコロナ前から営業制度の刷新を試みてきた。 なぜ大失敗に終わったのか 2018年4月にSuicaで新幹線自由席を利用できる「タッチでGo
福島第一原発事故の風評被害はいまも続いている。福島在住ジャーナリストの林智裕さんは「私の祖父はメディアが広めたデマのせいで生きる希望を失い、失意のうちに亡くなった。メディアは『権力の監視役』どころか『第四の権力』となってしまっている」という――。 ※本稿は、林智裕『「やさしさ」の免罪符 暴走する被害者意識と「社会正義」』(徳間書店)の一部を再編集したものです。 メディアがデマを広めている 今やメディアは少なくない人々から、流言を鎮めるどころか「広める側」と認識されている。アカデミズムもイデオロギーに偏向し、機能不全に陥りかけている。 日本学術会議は多くの批判や要望を受けていたにもかかわらず、結局、最後までALPS処理水関連では何一つ発信しなかった。 ファクトチェック団体の日本ファクトチェックセンターは、2023年7月になってようやく処理水関連のフェイクニュースを取り扱い、その後もいくつかの
小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」による健康被害の報告が相次いでいる。どこに原因があったのか。科学ジャーナリストの松永和紀さんは「サプリから検出された『プベルル酸』が原因である可能性が指摘されているが、専門家は『現時点では断言できない』と慎重な姿勢を崩していない」という――。 どうやってサプリに「異物」が混入したのか 小林製薬の紅麹サプリメント問題は入院患者が3ケタを超え、死者も5人と報告されています。台湾でも、被害報告が出てきました。サプリと症状の因果関係は確定していませんが、原因物質としてサプリから検出された「プベルル酸」の疑いが浮上しています。 前回、〈なぜ「紅麹サプリ」で死亡例が起きたのか…健康に良いとされる「機能性表示食品」の制度的な欠陥〉と題して、制度の問題点を探りました。 今回は、「プベルル酸の性質」「どのような経路でサプリメントに混入したと考えられるのか」「こうしたカビが作る
自転車の交通違反に反則金を課す「青切符」の導入を盛り込んだ道路交通法の改正案が、3月5日に閣議決定された。信号無視やスマホを使用しながらの運転、歩道走行などが取り締まりの対象になる。自転車評論家でジャーナリストの疋田智さんは「青切符の導入自体には大賛成だが、検挙にはメリハリをつけたほうがいい。現在多くの自転車が歩道を走っているのは、1970年の道交法改正の結果だ」という――。 日本の自転車の無法ぶりはヒドすぎる 自転車にクルマと同じ青切符(=行政処分)を導入することの是非については以前からずーっと議論されていた。 私としては大賛成。 正直申しあげて、もう違法自転車の傍若無人ぶりにはうんざりなのである。 私は約半世紀ものあいだ、ずーっと「自転車派」であリ続けた。もちろん今でも自転車派だ。自転車のことも、道交法のこともまったく理解していないような連中(弁護士にもいたりする)が「車道から自転車を
交通ルールを守らない自転車を撲滅するにはどうすればいいか。自転車評論家でジャーナリストの疋田智さんは「免許制を導入すればいいという人がいるが、原付免許より簡単な免許をつくっても税金の無駄だろう。それよりも、『自転車は車両である』と子どもから大人まで教育する場を設けるべきだ」という――。 「自転車免許」導入を望み続ける人たち 街中でペダルを回さずに爆走する「電ジャラス自転車」(※)の蔓延まんえんと、「青切符」の導入を盛り込んだ道路交通法改正あたりから、またぞろこんな話を聞くようになった。 ※ナンバープレートを付けていない違法なモペッドや、最近合法化された「特定小型原動機付自転車」の歩道走行などを指す。詳しくは過去記事を参照。 「自転車が危険だ」「邪魔だ」「ルールを守らない」……「だから、自転車にも免許を!」 これはもう、ピストブーム(2007年前後)あたりから、何度も出ては消え、出ては消え、
人気ドラマ「セクシー田中さん」(日本テレビ)の原作者・芦原妃名子さんが急逝した。亡くなる直前、芦原さんは「原作から大きくかけ離れた別人のようなキャラクターに変更される」などと、ドラマの脚本をめぐるトラブルをSNSに投稿していた。なぜテレビ局は原作通りの映像化を進めなかったのか。テレビ東京でドラマ・プロデューサーを長く務めた、桜美林大学教授の田淵俊彦さんは「原作モノのドラマを映像化するためには、4項目を完璧に遂行する必要がある。しかし、今の日本のテレビは、それができる時間も、カネも、余裕もない構造的な欠陥を抱えている」という――。(後編) テレビ局が、原作マンガを原作通りにドラマ化できない理由 前回、私は「今回の“不幸な”事件がなぜ起こってしまったのか」という原因として、①「ドラマ偏重主義」からくる「ドラマ多産化現象」と②コミュニケーションの断絶を挙げた。その後、大きな反響と意見や質問を皆さ
昨年10月~12月に放送されたテレビドラマ「セクシー田中さん」(日本テレビ)の原作者で漫画家の芦原妃名子さんが亡くなった。芦原さんは「マンガを大きく改編したプロットや脚本が提出されて(いた)」などと、ドラマ化をめぐるトラブルをSNSに投稿していた。なぜテレビ局は、原作者の意に沿わない改変を行ったのか。テレビ東京でドラマ・プロデューサーを長く務めた、桜美林大学教授の田淵俊彦さんは「テレビ業界の『ドラマ偏重主義』にトラブルの一因がある」という――。 「セクシー田中さん」をめぐる“不幸な”事件の2つの原因 「セクシー田中さん」の原作者でマンガ家の芦原妃名子氏のご冥福をお祈りするとともに、関係者の方々には謹んでお悔やみを申し上げます。 この事件が起こった直後に日テレから出されたコメントには耳を疑った。自己防衛としか思えない言葉が並んでいたからである。自己防衛をする前に、することがあるのではないかと
例年と違って小児科は発熱した子供でいっぱい 毎年、大型連休であるゴールデンウィークが終わると、小児科外来は患者さんが減ります。小児科は風邪やインフルエンザの流行する冬のほうが患者さんが多く、夏は少ないのが通例なのです。ところが、今年はどこの小児科クリニックの外来も、発熱した子供たちでいっぱいになっています。クリニックだけでなく、病院の小児病棟も満床になっていることが多いようです。 これは今、子供の間でさまざまな感染症が流行しているため。RSウイルス、溶連菌、ヒトメタニューモウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、新型コロナウイルスの感染者が増え、これらは検査キットで特定することができます。他にもさまざまなウイルスや細菌が蔓延しています。小児科では症状からどの感染症かを予想したうえで検査を行いますが、特定できないケースも少なくありません。このほか、ヘルパンギーナ、手足口病、突発性発
原書は、英国の『エコノミスト』誌の2020年の「その年の本」、2021年の同じく英国の『ザ・タイム』紙と『サンデータイムス』紙のベスト本に選ばれ、10カ国もの国で翻訳されている話題の本であった。 昨年12月に、その翻訳書が日本でも発売されるという告知を見たが、Amazonのサイトでは即座に、予約だけでジェンダーの領域で1位となった。書籍全体で26位にまでなったのを見たという人もいるらしい。 ところが告知がネットで知られてから数日のうちに、出版が停止になってしまった。現代の日本で、出版の予定が既に周知されていた本が出版停止になるというのはまれなことだ。この知らせは相当の驚きをもって受け止められていた。 その一方で、「とうとう来たか」と感じた人もいる。私もそのひとりだ。 この本については、SNSなどで出版に反対する声が上がり、出版関係者からもそうした動きがあった。KADOKAWAとは仕事をしな
エクセル作業を効率化するにはどうすればいいのか。公認会計士の羽毛田睦土さんは「マウスではなくキーボードを使うことを意識してほしい。頻繁に行う操作をキーボードに置き換えられると、仕事のスピードが格段に上がる」という――。 ※本稿は、羽毛田睦土監修、あきばさやか漫画『マンガでわかる Excel』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。 エクセルを「使いこなせている人」は少数派 「Excelを使ったことがありますか?」と聞かれれば、たいていのオフィスワーカーは「使ったことがあります」と答えるだろう。しかし、実際には「使いこなせている人」は少数派だ。たとえば、Excel上のカーソル操作(選択しているセルを変える操作など)ひとつをとってみても、「使いこなせている人」と「使いこなせていない人」の差は歴然だ。
「努力は必ず報われる」という思考はとても危険 日の当たらない場所であっても、地道に誠実に努力すれば、いつかきっと報われる、という考え方をする人は少なくありません。つまり「世界は公正であるべきだし、実際にそうだ」と考える人です。 このような世界観を、社会心理学では「公正世界仮説」と呼びます。公正世界仮説を初めて提唱したのが、正義感の研究で先駆的な業績を挙げたメルビン・ラーナーでした。 公正世界仮説の持ち主は、「世の中というのは、頑張っている人は報われるし、そうでない人は罰せられるようにできている」と考えます。このような世界観を持つことで、例えば「頑張っていれば、いずれは報われる」と考え、中長期的な努力が喚起されるのであれば、それはそれで喜ばしいことかも知れません。 しかし、実際の世の中はそうなっていないわけですから、このような世界観を頑なに持つことは、むしろ弊害の方が大きい。注意しなければな
しかし歩行者にぶつけられた、邪魔だと怒鳴られたなど「立ち止まり派」から歩行禁止を求める声は根強く、近年は障害などで左側の手すりにつかまることができない人にとって危険という指摘もあり、歩行論争は具体的な取り組みに発展している。 2021年3月に全国初の「エスカレーター歩行禁止条例」を制定したのが埼玉県だ。これはエスカレーター利用者に「立ち止まった状態でエスカレーターを利用しなければならない」、事業者(管理者)に「利用者に対し、立ち止まった状態でエスカレーターを利用すべきことを周知しなければならない」との努力義務を課す内容で、同年10月1日に施行された。 名古屋市も今年10月から「名古屋市エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例」を施行し、「立ち止まっての利用」を義務化。エスカレーター歩行を禁じる流れができつつある。 「歩行はやめたほうがいい」と考える人は年々増加 だが2022年10月3日
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