今回の内閣改造で、これまで外務大臣を務めていた麻生太郎氏が自民党幹事長となり、町村信孝氏が新外相に就任した。外相経験者が与党のナンバーツーになり、総裁派閥の長が外相になるというのは、国内政治における有力プレーヤーが外交に従事するということでもあり、日本の国益を保全し、増進する上でも歓迎すべき人事だ。 7月の参議院選挙における自民党の大敗、防衛事務次官人事をめぐる防衛大臣と防衛事務次官の対立、政治とカネの関係をめぐる農水大臣や外務大臣政務官の辞任などで安倍政権は逆風に立たされている。筆者はあまのじゃくなので、こういう時期であるからこそ安倍政権に対してエールを送ることにする。小泉前政権の5年間と比較して、安倍政権下で日本の外交が安定を取り戻したことは間違いない。特に「そろそろ地獄の釜のふたが開くのではないか」とみられていた日中関係の悪化を総理主導外交で食い止めたことは見事である。 外務