大塚英志のおたく社会時評 第五回 14歳のエヴァは終わっていない 神戸の例の事件で14歳の少年が逮捕された直後、角川の関係者が、少年が「エヴァンゲリオンを見てなきゃいいんだけど」などと妙な心配をしていたが、少し前の「少年エース」に「エヴァをきっかけに14歳という年齢について考えるようになりました」という14歳の少年(もちろん神戸の彼とは別人だろうが)の投書が載っていたのをふと思い出した。 誰も覚えていないだろうが、89年の夏、徳島で数人の中学生の女の子が前世の自分にあいに行くといって市販の鎮痛剤を飲むという奇妙な「自殺騒ぎ」があった。彼女たちは自殺する気は全くなく、ただ前世の本当の自分を知りたかっただけである。鎮痛剤を飲んで海辺に横たわる直前、彼女たちは確か『魔女の宅急便』を揃って見ていたはずだ。14歳の誕生日の日、家を出て少女が大人になる、という物語。 神戸の少年がエヴァを見ていた