総工事費約6900億円を投じ、延べ約1400万人が約24年間かけて完成させた青函トンネル(全長53・85キロ)は、13日に開業から30年を迎える。本州と北海道を結ぶ大動脈に、新幹線という新しい役割が与えられてから間もなく2年。重要性がますます高まる一方で、年齢を重ねるごとにJR北海道には維持費がのしかかっている。【日下部元美】 足元に湧水(ゆうすい)がたまり、水の流れる音が響く。「排水をやめたら、あっという間に水没してしまいます」。JR北海道函館新幹線工務所の藤田敦志所長は、青函トンネルの最深部にあたる津軽海峡の海面から約280メートル下の地点で説明した。 周辺の地盤から流入する塩分を含んだ湧水を24時間態勢で毎分20トン、ポンプでくみ出している。 列車を走行する本坑のほかに、資材などを運ぶための作業坑、建設工事のための先進導抗などからなる、世界屈指の長大トンネル。新幹線と貨物を合わせて1