前回まで、ブランドを有形無形の「コミュニティプラットフォーム」の形成として捉え、その場のアクションを通じて顧客やファンとともに価値を生み出す今日的なアプローチを、「動詞のブランディング」として説明してきました。目に見えないターゲットではなく、顔の見える個人やコミュニティと直接つながること。これは、従来のマーケティングの常識や枠組みを変えていくことでもあります。 昨今、世界的にデジタルマーケティングの手法が重視されていますが、これも単なる広告テクノロジーやメディアの視点ではなく、「顧客や生活者と直接向き合い、価値を共に生み出す」という、中長期的なビジネスとマーケティング戦略のシフトとして捉えるべきです。 例えば今日、革新的な価値を生み出しているリーディングブランドといえば、どんなものが思い浮かぶでしょうか。その多くが、ダイレクトサービスや製造小売業、あるいは製品自体のプラットフォーム化などで
AD STUDIES Vol.39 2012 ● 29 企業は自 らの存続と成長をもた らす顧客という資産と どのよ う な関係を築き、 市場の創造や活性化を図っていけばいいのか。 生活者の心理や行動に対する大規模サンプル調査や企業との共同研究を積み重ねてきた著者に、 今、 サービスマーケティ ング分野での挑戦課題となっている企業と消費者の 〈価値共創〉 に関する動向を 紹介していただく と ともに、 今後の研究フロンティ アについて提起いただいた。 価値共創時代の顧客戦略 小野 譲司 青山学院大学経営学部マーケティング学科教授 顧客の獲得、 維持、 育成のバラ ンスを図り ながら、 いかに して事業の成長や安定化を図るか、 本稿ではこの課題を顧 客戦略と呼ぶ。 マーケティ ング分野の中心的なテーマの 一つである顧客戦略に関しては、 さ ま ざまな概念や手法が 提案されている。 リ レーシ
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