米国に留学したての頃、恥ずかしながらほとんどリスニングができていなかったので、日常会話にも苦労した。そんな状態でも、映画を見るのは止められないので、映画館に行っていた。米国で最初に見た映画はイーストウッドのミリオン・ダラー・ベイビーだったが、台詞の中身は理解できないのに、映画全体は不思議と理解できた。案外台詞が理解できなくても映画は楽しめるものなのだと、その時気づいた。 留学当初は台詞なしで理解可能かどうかを優れた作品の判断基準にさえしていた。実際、台詞なしで理解できなかった作品は、後から字幕つきで見ても面白くないことが多かった。この感覚は、英語が上達するにつれ失われていったが。