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ブックマーク / shinichiroinaba.hatenablog.com (6)

  • 新しい終末論(ないしそれに代わる歴史目的論)としての長期主義 - shinichiroinaba's blog

    マッカスキルを読んで面白いと思ったのは、長期主義は新しいタイプの終末論というか、歴史目的論だなというところ。コジェーヴを引き継いだフランシス・フクヤマの「歴史の終わり」論なんかもあるし、そうするとそれらを踏まえた東浩紀の動物化論も終末論と言えるのかもしれないが、分析的伝統に立った哲学的倫理学においてこういう形で歴史哲学の復権が起こるとすると面白い。 もちろん終末論といってよいかどうかはわからないが人類絶滅の可能性、存亡リスクについてはかねてからボストロムが論じてきたところではあり、その背景には当然終末論法、そして人間原理の宇宙論がある。ただボストロム自身は存亡リスクを深刻に受け止めている一方で終末論法自体は受容していなかったのではないか。 人間原理は(語弊のある言い方をすれば)この現時点における人類文明を(人によってはその一員である論者自身の実存を)開闢いらいの全宇宙史の帰結として位置づけ

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  • 関東社会学会第69回大会テーマ部会B「ワークショップ時代の統治と社会記述――「新自由主義」の社会学的再構成」(2021年6月12日)へのコメント - shinichiroinaba's blog

    関東社会学会:年次大会---第67回大会(報告要旨・報告概要:テーマ部会B) *当日コメント ・拙著『「新自由主義」の妖怪』(稲葉[2018])を踏まえていただいて大変光栄であるが『政治の理論』(稲葉[2017])を踏まえていただかないと実はコンテクストが十分にはわからないはず。 ・古いマルクス主義の発展段階論の構図を前提にすれば「新自由主義」概念は一見わかりやすい。すなわち、後期資主義=国家独占資主義が行き詰まり、支配階級たる資家は体制維持のために小さな政府、規制緩和に逆行しようとする。つまりはファシズム同様の反動、資主義の断末摩である、と。 この理解の欠点――いつまでも「断末摩」が続く万年危機論。しかも社会主義の崩壊後もまだやっている。国家独占資主義がそもそも資主義の断末摩で、その後社会主義に移行するはずではなかったか。「新自由主義=ポスト国家独占資主義」とかお前ら真面目

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  • 『週刊現代』「わが人生の最高の10冊  No Books, No Life」没仮想インタビュー - shinichiroinaba's blog

    講談社の『週刊現代』から、異例に失礼な扱いを受けたためにここに公表させていただく。 == 9月27日に、『週刊現代』ライターのXさんよりメールで当該誌読書欄の「わが人生の最高の10冊  No Books, No Life」の取材依頼を受けた。以下、依頼メールより適宜引用する。 「お好きな10冊について1時間ほどお話をお伺いし、編集部でまとめさせていただきます。 稲葉先生の読書歴について、興味を持っております。」 「稲葉先生の「10冊」と「最近読んだ1冊」をお教えください。 取材日の1週間前くらいまでに、お教えいただきたいと考えております。 「仕事の糧になった10冊」「学生時代に読んだ10冊」など、10冊の範囲を設定いただいてもかまいません(特に、設定いただかなくても、かまいません)。 漫画や洋書、絵、現在は絶版になっているを選んでいただいてもかまいません。 ただ、読者層が高齢のため(6

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  • 『石橋湛山経済論集』というものが - shinichiroinaba's blog

    現在なぜか存在しない。これは不便だ。 岩波文庫の『評論集』は政治・外交・文化に偏っている。東洋経済の『著作集』版で言えば3、4巻。1、2巻に対応する文庫がほしい。たぶん岩波文庫のラインで待機中なのだろうが、長幸男先生もなくなってしまわれたし、中村隆英先生がお元気なうちに何とかしてほしい。 東洋経済の『著作集』は目下版元品切れである。現在のところは古で何とか入手可能ではあろう。 石橋湛山評論集 (岩波文庫 青 168-1) 作者: 石橋湛山,松尾尊兌出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1984/08/16メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 34回この商品を含むブログ (23件) を見るリベラリストの警鐘 (石橋湛山著作集―経済論) 作者: 石橋湛山,長幸男出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 1995/11/01メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見るエコノミ

    『石橋湛山経済論集』というものが - shinichiroinaba's blog
  • 2009-05-08

    中野剛志『国力論』半分くらい読んでげんなり。合評会に行く気はほぼ消滅した。 *リストを論じて何で『農地制度論』に触れないの? せっかく小林昇訳の日語版が利用できるのに。こちらでは植民・移民の問題も議論されてるのに。 ちなみにリストは日では愛されてよく読まれてますよ。小林昇をはじめとして日のリスト研究は世界水準というのが常識では? 何でそれを無視するの? *私見ではヘーゲルはスミスもリカードもよく理解できていない。彼の経済論の下敷きはむしろジェイムズ・ステュアート。 *ポーコック以降のいわゆる「シヴィック・ヒューマニスト・パラダイム」論者も別にアダム・スミスがリベラリストであることを否定してはいないと思うけど。「シヴィル・リベラル・パラダイム」なんて対語もあったと思うけど。ホント&イグナティエフ編『富と徳』とか。 *何で英語圏でも広く読まれている村上泰亮について論じないの? そもそも著

    2009-05-08
    abrahamcow
    abrahamcow 2012/05/30
    中野剛志
  • 「何故しぶとく生き延びるのか ゴキブリとマルクス」『諸君!』2005年8月号 - shinichiroinaba's blog

    松尾さんの新著をめぐって変に盛り上がっているのでお蔵出し。 何らかのネタの提供になるだろうか。 これと『教養』第7章を読んでいただければ、ぼくが疎外論的マルクス主義それ自体には割と批判的――正統派レーニン主義にもそれなりの事情があったし、その問題点が疎外論で克服できたわけでもない――と考えていることはお分かりになるでしょう。ただそれと今回の松尾さんのの評価とは、関係はあるが別の問題なわけだけど。(ていうかまだ読んでないし。) しかしこれを山形は全く知らないだろう70年代頃までの新左翼系の疎外論だの物象化論だのといったややこしい論争まで引っ張り起こしていじりまわすといったいどうなるのやら……(松尾さんには廣松渉批判の論文もあったな。廣松の「マルクス主義」がすでにマルクスから離れた別物であったというのは間違いじゃないだろうけど)。 ==============================

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