酒に弱いほうが生存に有利だった? 一人ひとりの体の設計図、すなわちゲノムは、わずか0.1%しか違わないと報告されています。けれども、よくみればDNAが1文字だけ異なる一塩基多型(SNP)をはじめ、細かな違いが無数にあって、SNP1個で体質ががらりと変わることもあります。では、日本人のゲノムにはどんな特徴があり、その特徴はどのように作られてきたのでしょうか。 2020年に興味深い論文が公表されました。日本人17万人のゲノムをもちい、遺伝子変異が起きた時期と、それがどのように伝わってきたのかをコンピューターを駆使して探索したものです。すると、過去1万〜2万年のあいだに変異が起きた遺伝子のうち、29個が世代をへるごとにそれぞれ一定の方向に体の特性を変化させてきたことがわかりました。 このなかでもっとも強い動きが「酒に弱くなる方向への進化」でした。飲めるようになるならともかく、飲めなくなるなんて進
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