上野-青森間に毎日運行されているJR東日本の寝台特急「あけぼの」が、利用者の減少や車両の老朽化などを理由に、来春のダイヤ改正で廃止される見通しという。夜行列車は本当に時代遅れなのだろうか。「切実な足」として利用している乗客の話に耳を傾けながら、公共交通の多様な役割について考える。 ■横になって行ける 晩秋の平日午後9時すぎ、羽後本荘駅(秋田県由利本荘市)の待合室に旅行かばんを手にした客が一人、また一人と現れた。同10時1分発の上野行き「あけぼの」に乗る人たちだ。 「乗り換えなしで行けるし、横になれるから楽なんです」。友人2人と箱根の紅葉を見に行くという年配の女性は話した。帰りも「あけぼの」を予約してある。「廃止されたらとても不便になる。どうしよう」 同市は人口8万1千人の主要都市。だが、秋田新幹線の始発・秋田駅まで在来線で35分ほどかかり、そこからの同新幹線は東京まで約4時間。新潟