文明が誕生したごく初期から、私たちの祖先は食べ物に風味を加えるためにハーブを活用してきた。摘みたてをそのまま使ったり、乾燥させて粉末にしたりしていたと考えられている。炭化したフェヌグリークの種子が遺跡で見つかっているが、放射性炭素を使って年代を測定したところ、紀元前4000年前後のものと確認された。 実際、古代エジプト王たちの墓からも、多様なハーブの種子が見つかっているし、暮らしを楽しむ才能にかけては比類のない古代ギリシャ人やローマ人も、祝宴や晩餐のご馳走に、地元の地中海沿岸産の刺激的な風味のハーブを頻繁に使っていたとの記録がある。やがて遠征によりヨーロッパや中東に勢力の拡大をはかるローマ軍が、チャービルやフェンネルなど地中海沿岸産のハーブをほかの地域へと広げていった。
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