エネルギー・環境分野を主にコメントさせていただいております竹内純子と申します。NewsPicks編集部のご厚意により、1月に上梓(じょうし)した拙著のご紹介の機会をいただきましたので、拙著「原発は“安全”か―たった一人の福島事故報告書―」が何をお伝えしたかったのかをご紹介させていただければと思います。 「原子力は『絶対に』安全」とは誰にもいえない。21世紀に一歩足を踏み出しつつ、人類が初めて原子力の火を手にした20世紀を振り返ると、原子力の利用は、電力の供給や各種の放射線の利用など多大な恩恵を我々にもたらす一方で、安全確保のためのたゆまぬ努力を不可欠なものとして求め続けることが分かる。 原子力安全確保のための不断の努力には、「これで終わり、もう絶対安全」という安住の地は用意されていない。このことを忘れ、謙虚さを失うようなことがあれば、そこには新たな事故・災害が待っている。