東芝が先月発表した新トップの人事が、異例人事だとして憶測を呼んでいる。電機業界の中ではリーマンショックからいち早く回復し、重電部門を中心に安定した業績を挙げているのが東芝だ。この人事、何が異例でどんな憶測を呼んでいるのか。 同社が発表した6月発足の新トップ人事の概要は次のようなものだった。「西田厚聡会長(69)は留任。佐々木則夫社長(63)は新設の副会長に就任。田中久雄副社長(62)が社長に昇格。東芝が副会長職を設けるのは1949年の株式上場以降初めて。田中副社長は調達畑出身。同畑出身者が社長に昇格するのも初めて」。これが異例と言われる理由だ。 この異例な人事に憶測が加わったのは、その記者発表時の西田会長と佐々木社長のさや当てだった。 会見の冒頭、西田会長は隣に座った田中副社長に目をやり「東芝をもう一度、成長軌道に乗せてほしい」と激励した。ところが、佐々木社長は「業績を回復し、成長軌道