我々は、日常生活の中でよく「あの人は頭がいい」「知性(インテリジェンス)が高い」といった表現を用いる。しかし、その場合の頭の良さ、インテリジェンスとはいったい何を意味しているのだろうか。それは努力によって向上できるのか。また、そもそも実質的な意味を持つ言葉なのだろうか。英国が世界に誇る脳科学者のジョン・ダンカン博士に、知性のメカニズムについて聞いた。(聞き手/ジャーナリスト 大野和基) ――「頭のいい人」と「それほどでもない人」の差はどこにあるのか。 ジョン・ダンカン(John Duncan) 英国のケンブリッジ大学とバンガー大学の名誉教授。オックスフォード大学の客員教授、王立協会および英国学士院の会員でもある。30年以上にわたって人間の脳と心の関係を研究。近著に『HOW INTELLIGENCE HAPPENS』(和訳本「知性誕生」早川書房) 心理学者のレイモンド・キャッテル(1905~