絶滅危惧種・ニホンウナギの生息地の三方五湖(福井県美浜、若狭両町)へ、日本海から稚魚のシラスウナギの遡上(そじょう)が途絶えた可能性が高いことが、東京大農学生命科学研究科の海部健三特任助教(保全生態学)らの研究グループの調査でわかった。 地元漁協が毎年行っている放流がなくなるとウナギ漁が維持できない恐れがあるという。 ニホンウナギは、マリアナ諸島付近の太平洋で産卵。シラスウナギは黒潮に乗って日本では主に太平洋沿岸に流され、一部は日本海沿岸にも流れ着く。そこから川を遡って成長する。 グループは2010年1~7月、過去に遡上が確認されている久々子湖と日本海をつなぐ美浜町の早瀬川河口で、シラスウナギの捕獲調査を実施。夜間に上げ潮に乗って遡上する習性に合わせ、同じ条件の夜に毎月2時間調査を行ったが、1匹も捕獲できなかった。 一方、湖での調査でも遡上の可能性が低いとの結果が出た。08年11月~11年