食用として歴史が短い桃 桃と聞けば、果肉の蜜のような甘さを連想する場合が多いかもしれない。しかし、現在のような甘い桃を食べられるようになったのは、明治期以降にもたらされた外来種との交配による品種改良の成果であり、桃の歴史からすれば最近の事である。 「桃は縄文時代の、今から約6000年前ごろの長崎県の諫早半島に付け根にある伊木力遺跡から出土しており、その後弥生時代には急速に西日本からその栽培地域を拡大していき、弥生時代後期には長野県、東京都、群馬県、新潟県にまで達している。」1) 食用が一般的となる以前の桃は一体何に用いられていたのであろうか。 桃の産地 日本国内での桃の生産量(2019年)は、山梨県(28.5%)、福島県(25.0%)、長野県(11.1%)となっており、3県合わせると約65%に当たる。もともとの原産地である中国の環境と合わせてみてみよう。 「桃は梅と同様に原産地は中国で、縄