地震が来る10数秒前に、予想される震度と到達までの時間を知らせてもらい、社員を待避させ、設備の安全対策を施す。気象庁が2006年中にも本格運用する「緊急地震速報」で実現する。先進企業は、速報される情報を自社システムに連動させる仕組みを作り始めている。 「地震が来ます、安全を確保してください」 工場内に放送が流れると、工員たちは直ちにデスクの下に隠れるなど、地震に備えた行動をとった。メモリーやシステムLSIの注文をさばくため、工場では900人の社員が勤務していた。同時に、工場設備自身が“退避”を始めた。震度5弱以上の地震の場合、最終的にほとんどの装置を止めてしまう。 薬品やガスを充填したボンベの元栓、水供給設備の元栓については、自動的に締め上げる。電気制御で動く栓を採用しているからだ。工場内の天井近くを行き来していた自動搬送機も止めてしまう。こうして、揺れによる薬品やガスの流出、引火、器