一般論化するつもりはないが、映画で描かれるフランス人の家族は不思議だ。本音で言い合い、互いの関係が悪くなってもいつの間にか仲直りしている。自分の意見を主張し相手を認め合える個人主義の文化があると言えばそれまでだが、日本人からすると「そこまで言って大丈夫なの?」と思ってしまうときがある。 今回見た映画『真実』はそんな「本音の言い合い」を存分に見ることができる。国民的人気を誇る女優ファビエンヌが自伝を出版することになり、離れて暮らしていた家族が集まってくるところから物語は始まる。ファビエンヌの住まいはパリにある屋敷。現在のパートナー、有能な執事の3人で暮らしている。 出版祝いで集まってきたのは元夫のピエール、脚本家としてニューヨークに住んでいる娘のリュミール、その夫でテレビ俳優のハンクと娘シャルロット。 しかし、再開の喜びもつかの間、自伝に書かれていることは全て嘘だと娘のリュミールはファビエン