この展覧会は、暮らしの中にこそある美について定義、運動をした「民藝運動」を起こした中心人物「柳宗悦」らの活動を年代別にし、民藝運動の歴史を辿る展覧会だった。 ローカルであり、モダンである。 「民藝」とは、「民衆的工芸」を略した言葉です。民運動が生まれたのは、近代の眼がローカルなものを発見していくという「捻じれ」をはらんだ時代でした。柳宗悦、濱田庄司、河井寛次郎らは、若くして西洋の情報に触れ、モダンに目覚めた世代でありながら、それまで見過ごされてきた日常の生活道具の中に潜む美を見出し、工芸を通して生活と社会を美的に変革しようと試みました。 今回とりわけ注目するのは、「美術館」「出版」「流通」という三本柱を掲げた民藝のモダンな「編集」手法と、それぞれの地方の人・モノ・情報をつないで協働した民藝のローカルな流通 ネットワークです。民藝の実践は、美しい「モノ」の蒐集にとどまらず、新作民藝の生産から