【スモレンスク(ロシア西部)=貞広貴志】ポーランドのカチンスキ大統領の専用機が10日、墜落したのはロシア西部スモレンスク郊外の森の中だった。 ちょうど70年前、2万2000人のポーランド軍将校らが命を落とした「カチンの森」からわずか20キロ・メートル。4月になっても葉が茂らない暗い森で起きた悲劇に、静かな集落の住民は「ここは呪(のろ)われているのだろうか」と声を失った。 墜落現場は、滑走路から約200メートルの地点。ポーランド国旗と同じ白と赤に塗り分けられた機体は、ひん曲がった無数の破片と化し、数百メートル四方の範囲に飛散。翼の一部が地面に突き刺さり、機体がかすめていったシラカバの木々のこずえは、ナイフで切り落とされたように鋭く折れている。 家具修理業ピョートル・グリゴリエフさん(56)は、大統領一行を歓迎する行事の準備をしていて惨事を知った。「ポーランドとの親善が進むはずだったのに……。