戦後日本を代表する保守派の論客として、新劇の劇作家・演出家・翻訳家として、多岐にわたり活躍した福田恆存。彼が展開した演戯論・平和論・恋愛論・国語論はいかにして形成されたの… 福田恆存 人間は弱い [著]川久保剛 今年は福田恆存(つねあり)生誕100年にあたる。近年、福田に注目が集まり、再評価が進んでいる。本書は若手研究者による本格的な評伝である。 福田は東京・神田の下町で職人に囲まれて育った。そこで身に付いた職人気質が、庶民の良識を重視し、俗流インテリへの批判的態度へとつながる。 福田は大学時代、英文学とともに「生の哲学」に関心を寄せた。福田は人間の非合理的な生命の力を直視し、理性の無謬性(むびゅうせい)を疑った。 福田の懐疑は、イデオロギーに身を寄せる知識人への批判となって現れた。そして、文芸批評の先駆者・小林秀雄への痛烈な批判へと展開した。福田にとって、近代人の内面の空虚に迫った小林は
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