日常何気なく使っている「1秒」という単位。それはいつ、どう決められた時間の長さなのだろうか…。 天体の運行観測が大航海時代を開いた頃からつい55年前まで、時計は天文学者の管理下にあった。その中で秒は1799年、フランスのメートル法で「太陽が昨日と同じ位置にくる時間の1/86,400(24×60×60)」、1956年には国際度量衡委員会で「地球が太陽を1周する時間の1/31,556,925.9747」と、地球の自転や公転を基に定義されてきた。 それが、1950年代からの原子時計の開発と精度向上により1967年、国際度量衡委員会は「セシウム原子が吸収・放射するマイクロ波が9,192,631,770回振動するのにかかる時間」と定義。誤差3000万年に1秒、世界の約300台のセシウム原子時計が刻む時の平均を世界標準時と決めた。この時点で、時計の管理は天文学者から物理学者の手に移ったのである。 この
数千万年に1秒しか狂わない現在最高水準の原子時計の精度を上回る「光格子時計」の実験に、香取秀俊・東京大学准教授らのグループが成功した。 次世代の超高精度時計の有力候補と見られており、科学誌ネイチャー・フィジックスに27日、発表する。 世界の標準時を決めている現在の原子時計は、装置の中で宙に浮かせたセシウム原子が出す光の周波数を測定して、1秒を決める。これに対し、香取准教授らの光格子時計では、前後、左右、上下の6方向からレーザーを照射して、原子を固定する極微の「光の立体格子」を作製し、そこに原子をはめ込んで周波数を測定するため、原子時計に比べて格段に正確な計測が可能になった。 実際に、セシウムより周波数の高い10万個のストロンチウム原子をこの格子に1個ずつ固定し、2000兆分の1秒の細かさで時間を計ることに成功。現段階では原子時計の2〜10倍の精度だが、原子数を増やすことなどで改良を加えれば
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