派遣の品格 ベネッセの顧客情報流出事件。犯人は都内のIT人材派遣会社から派遣されていたSE(システムエンジニア)で、若手SEを指導するほど信頼され、DB(データベース)へアクセスする権限を与えられていたことが悪用されました。 専門職であるITの世界で、派遣社員は珍しくなく、いわば「外部」の人間に、重要な情報を扱わせることは日常的に行われています。むしろ正社員による内製化にこだわれば、しばしば技術が停滞するからです。正社員という立場を守るために、最新技術の習得より、社内政治に労力を割くインセンティブが働くからです。 犯行はパソコンに接続したスマホに、ダウンロードするという手法でした。重要機密を扱う部署では、電子機器の持ち込みは規制されなければならないのですが、事件の舞台となったベネッセのグループ会社「シンフォーム」では、開発用のパソコンにUSBをつなぎ、私物のスマホへの「充電」が日常的に行わ