■『中二階のある家 ある画家の物語』(未知谷) アントン・P・チェーホフ/著 工藤正廣/訳・解説 マイ・ミトゥーリチ/絵 チェーホフの短編も、ライフワークとして全部読んでみたいと思っている。 特に、この未知谷から出しているシリーズは、訳者、出版関係者にもチェーホフへの愛が溢れていて、 装丁も挿画もトータルに考えられていて、とてもステキだ ▼あらすじ 風景画家の「わたし」は、ベルクーロフという地主の屋敷にやっかいになって日々を無為に過ごしている。 ある時、近隣の大きな屋敷に住む姉妹と出会う。 姉リーダは教師をしていて、その給料だけで暮らしていることに誇りを持っている。 農民たちの貧しい暮らしを変えるために積極的に活動し、医療の手伝いもしている少々キツイ性格。 妹のミシューシは逆に、毎日をとにかく読書で過ごし、青ざめるほど本を読んでいる。 画家に興味を持ち、彼を出迎え、絵を描く時はウットリ眺め
はじめに 亀山郁夫は『ドストエフスキー 父殺しの文学』(全二巻、日本放送出版協会、2004)の序文で次のようにいう。 本書は、ドストエフスキー文学における最大の謎とされる「父殺し」の主題を扱っている。しかし「父殺し」における「父」とは、作家の父ミハイル・ドストエフスキーを意味するにとどまらない。それどころか、絶大な皇帝権力のもとに生きるロシア知識人、いやロシア社会全体を包みこむ主題だったと述べても少しも過言ではない。議論の出発点になるのは、オーストリアの精神分析学者ジークムント・フロイトが著した「ドストエフスキーと父殺し」だが、本書に託したねらいは、その紹介にも応用にもなく、むしろフロイトからどれほど自由に、そして遠くまで行けるか、つまり冒険できるかという点につきる。 これから本書を読みすすめていく読者に対し、あらかじめ一つの点について注意をうながしておこう。本書のなかで私は、「父殺し」と
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