ブラジルのテレビ用語に「マンシェッチ世代」という言葉がある。マンシェッチとは1983年に創業し、経営難によりわずか17年で売却されたテレビ局の名だ。マンシェッチは、日本製の特撮テレビドラマを放送することで、大手局をしのぐ視聴率をたたき出し、旋風を巻き起こした。 『巨獣特捜ジャスピオン』『電撃戦隊チェンジマン』(いずれも日本放送は1985~86年)あるいは『世界忍者戦ジライヤ』(同88~89年)などの作品は、絶頂期にはほぼ毎日3回放送された。さらに最終回が終わると、翌日から再び同じ作品を繰り返し放送するヘビーローテーション。その結果、当時の子供たちの心をわしづかみにした。彼らこそが「マンシェッチ世代」だ。 そのマンシェッチ世代も今や30~40代。熱狂はすっかり過去のものかと思いきや、パンデミック中の2020年に現在の大手放送局が『巨獣特捜ジャスピオン』などの過去の人気作から3シリーズを地上波