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ブックマーク / sakubun.blog.ocn.ne.jp (1)

  • 名作を読む

    志賀直哉の小説の題材のほとんどは自分が体験したことである。いわゆる私小説といわれるものが大半である。  志賀の最高の傑作が「城の崎にて」であることを認めるのに私はやぶさかでない。この小説は私小説の最たるものであるが、おもしろさまたはうまさという意味で傑作なのが「赤西蠣太」だと私は思っている。  「赤西蠣太」は志賀の作品の中では異色である。この小説歴史を題材にして、ストーリーのおもしろさを追求している。私は「赤西蠣太」を読んだとき、志賀の違った面を見た思いがした。ストーリーテラーとしても志賀は一流だと思った。 「赤西蠣太」は仙台藩で起こった伊達騒動を背景とした短編である。  伊達騒動は歴史上たいへん有名な騒動で歌舞伎の「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」はこの騒動を扱ったものである。  伊達騒動といえば、原田甲斐が悪人と相場が決まっているが、実は原田は悪人どころか、仙台藩の分割を狙う幕府

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