塀に囲まれたイランの少女更正施設には、強盗、殺人、薬物、売春といった罪で捕らえられた少女たちが収容されている。撮影許可を得るのに7年もの歳月をかけ、彼女たちの”失われた人生”に光を充てるのは、イランを代表するドキュメンタリー作家メヘルダード・オスコウイ。”ドキュメンタリー”といっても、このインタヴューを読んで頂ければ分かる通り、作り方は”フィクション”のそれと同じで、綿密な準備を経て映画は撮影されている。既に監督自身が様々な機会に明かしている通り、最も影響を受けたのが、アッバス・キアロスタミ、小津安二郎、ロベール・ブレッソンであるというのだから推して知るべしである。 メヘルダード・オスコウイのカメラは、ほとんど、この収容施設から出ることなく、塀の中の彼女たちの日常と彼女たち自身による告白を親密な距離感で捉えていくが、その視座から捉えられた映像は、対象を表面的ではなく、空間の奥行きを含めて立