韓国を代表する映画監督と聞かれれば、(今の僕ならば)迷わずホン・サンスの名前を挙げるだろう。もちろん、キム・ギドク、パク・チャヌク、ポン・ジュノなど、名前が挙って納得という監督はまだいる。だが以前キム・ギドクも嘆いていたように、彼らの作品はあまり韓国では支持されていないという。もちろん、それは興行収入という意味でだが。そんな彼らは世界の映画祭での人気がすこぶる高く、海外の映画好き、また欧米を筆頭に世界中の映画監督からよく名前が挙がる。だが逆に言えば、彼らの映画製作の資金は映画祭での評判にかかっていると言ってもいい。海外の資金を糧に好きな映画を撮っているのだ。 その中でもホン・サンスは特殊な立場を貫く監督だ。その登場人物はたいてい韓国人で、舞台もだいたい韓国。彼がアメリカで勉強し、パリで撮りたい映画に開眼したように、海外で暮らす韓国人が描かれることもある。男は揃いも揃ってダメ人間。女は優秀な