ジャクソン・ポロックが描いた「ドリップ・ペインティング」は、一見、子供が描き散らかした絵のようにも見えます。無秩序に絵具がちりばめられたかのようなこの作品は、実際、絵具を垂らしたり、流したり、投げつけたりといった独特の手法により制作されています。「私にだってこれくらいの絵は描ける」、そんな感想を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか? 物理学者のリチャード・テイラーは、今から10年ほど前に、こうした感想とはまったく正反対の考えを科学的な視点から引き出しました。 彼によれば、ポロックのドリッピングの技術は非常に卓越したものであり、だれにでも簡単にまね出来るようなものではないそうなんです。 ポロックの絵に見る、無秩序の中の秩序 テイラーは、「ポロックの絵はフラクタルである」と言いました。 「フラクタル」とはもともと、数学者のブノワ・マンデルブロが考え出した幾何学の概念で、図形の「部分」と「全
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