『うちらきっとズッ友―谷口菜津子短編集―』(谷口菜津子/双葉社) 『うちらきっとズッ友 ―谷口菜津子短編集―』は、以前紹介した『教室の片隅で青春がはじまる』(KADOKAWA)と『今夜すきやきだよ』(新潮社)で、「多様性を柔らかな筆致で描いたこと」が評価され、「第26回 手塚治虫文化賞」新生賞に輝いた漫画家・谷口菜津子による、6つの”友情”をめぐる短編集。たとえば、「コトハとエマ」では、「同じ男子を狙う恋のライバル同士」が、「砂糖と塩」では、「何かと馬の合わない嫁と姑」が、ひょんなことをきっかけに意気投合。かけがえのない“ズッ友(ずっと友だち)”になっていく様子が、思わずクスリと笑ってしまうテンポのよい掛け合いと本音全開のモノローグで綴られる。そんな6編のなかでも筆者がもっとも衝撃的だったのは、噂の転校生と夢見がちな少女の交流を描いた「卯月ちゃん」だ。「こんなにも残酷で美しい友情の描き方が