知人のレビューをみて興味を持ちました。 「ピカソの絵って、どこがスゴイの?」、初めてピカソを観た多くの人が抱く疑問です。私もその一人でした。 著者の西岡氏は、本書で、「ピカソとその作品にまつわる素朴な疑問」に答えていきます。 たとえば、ピカソの作品が高い値段で取引される理由。それは「画商の戦略的活用」にあったと言います。 (p28より引用) ピカソの成功の秘密は、19世紀後半に急成長した画商というビジネスの可能性を正確に見抜き、自分の作品の市場評価の確立と向上にあたって、彼らが果たす役割というものをとことん知り抜いていた点にありました。 とはいえ、その前には環境の変化、すなわち「画商」の介在による「絵画ビジネス」の興隆がありました。絵画彫刻のスポンサーが教会・王侯貴族から新興富裕階級に移りつつあるとき、前衛絵画として「印象派」が登場し、急激に評価を高めた彼らの作品は市場において高値で取引さ