惜別 天文学者・海部宣男さん(4月13日死去、75歳) 日本の天文学は、長野県の野辺山高原につくられた直径45メートルの電波望遠鏡で世界の最先端に飛び出し、ハワイのすばる望遠鏡で誰もが認める存在となり、野辺山を発展させて南米チリに米欧と建設したアルマ望遠鏡で揺るぎない地位を確立した。これらすべての巨大プロジェクトでリーダーシップをとった。 アルマは標高5千メートルの高地に66台の電波望遠鏡が並ぶ。日本チームのチリ所長を務めた長谷川哲夫さん(63)は「大きな冒険にみんなを連れて行ってくれた人」と評する。技術的にも予算的にも制度的にも、当時の日本にはできるかどうかさえわからない挑戦の数々。「もちろん海部さん一人でできた仕事ではないけれど、みんなを巻き込んでその気にさせた」という。 歯切れが良く、博識。アルマ…