安倍晋三元首相が凶弾に倒れた。蛮行を非難すると同時に、安倍元首相のご冥福を謹んでお祈りする。日本の外交史に大きな足跡を残された方であった。この機会に、そのことについてあらためて考え直してみたい。 安倍元首相は、日本国内では、右派としてのイメージが強く、国粋的な傾向が強かったとみなされている。他方において、訃報に際して、世界各国から哀悼の意が表明されたことからわかるように、国際的には多国間協調主義を推進した人物であった。 安倍元首相が官房長官として仕えた小泉純一郎氏と比しても、安倍元首相の場合には、価値観を前面に押し出す傾向が強かったように思われる。それは国内のイデオロギー対立の構図では、右派の国粋主義者としてのイメージにつながった。他方において、国際社会においては、「自由・民主主義・法の支配」の普遍的な原則を推進した国際主義者としてのイメージにつながった。愛国者としてのイメージと、多国間協