私たちは、年齢を重ねるにしたがって新しいことを学ぶ力や記憶力がだんだんと衰えていくものと考えがちです。20世紀後半に高齢化社会を迎えた欧米などでは「生涯発達心理学」の研究が進んで、一般的には人間の認知能力は20歳以降徐々に低下するものの、健康な高齢者には脳を効率よく活動させて課題を解決する新しい能力が生まれる可能性があること、そして語彙の能力や創造力は生涯にわたって向上させていけることがわかってきました。 老いに対する感じ方は人によってさまざまですが、一般的には実際の年齢(=暦年齢)よりも自身が感じる年齢(=主観年齢)とのギャップが青年期を境にだんだんと大きくなっていくことも専門家などによる調査から明らかになっています。一方、社会では「老い」への偏見として「生産性が低い」「変化を望まない」といった否定的なイメージを抱きがちです。このギャップがときには高齢者にとって大きなストレスになることも