主演はオリビア・モリーナ。あのアンヘラ・モリーナの娘だ。しかももう29歳(当時)だ。同じ試写会の場にいた知り合いの女性たちは、最初の数分、10代のころの設定には無理が、違和感が感じられたと言っていたが、ブニュエルの『欲望の曖昧な対象』を何度も見たぼくとしては、母の思い出に取り憑かれていた。チラシやポスターの写真では気づかないけれども、動いてみればこれがそっくりなのだ。 しかも、その違和感ある10代のころの話しなどすぐ終わる。さすがに『電話でアモーレ』(この邦題もいかがなものかと思うが)などのオリストレル監督だけあってテンポ良い作りだ。 天才的な料理人ソフィア(モリーナ)が堅実な不動産セールスマンに育ったトニ(パコ・レオン)と遊び人で金もある接客業のフランク(アルフォンソ・バッサベ)、2人の幼なじみと独特の関係を保ちながらシェフとして成長していく話。それを生まれる直前の娘が語る。