近代世界の転換と家族変動の論理 アジアとヨーロッパ 落 合 恵美子* 日本の近代家族研究の蓄積は世界の家族変動研究にどのような貢献ができる のか,アジアとヨーロッパを例に検討する.まず,人口転換とジェンダーへの 注目を理論的基礎として,近代の家族変動と社会変動をとらえる枠組みを提出 する.第 1 次人口転換と主婦化が近代家族を単位とする「第 1 の近代」を作り, 第 2 次人口転換と脱主婦化が個人化と家族の多様化を特徴とする「第 2 の近 代」を開始させたとする枠組みである.この枠組みをアジア社会に適用するた め,日本以外の東アジア諸国は圧縮近代,日本は半圧縮近代ととらえることを 提案する.圧縮ないし半圧縮近代においては, 「個人主義なき個人化」すなわ ち,家族が互いに支え合う社会において,家族というリスクを回避するための 「家族主義的個人化」が起こる.また,人口学的条件等の違いの結果を文