ジェンダー平等は「奇跡」ではない フィンランドの欧州問題担当相トゥッティ・トゥップライネン(44)によれば、同国の男女同権の歴史は農耕時代にまでさかのぼるという。 女性は男性とともに農業をしていたため、フィンランドにはもともと「主婦」という概念がなかった。20世紀になって工業化社会が到来すると、男性と並んで女性も工場の同じ組立ラインに立ったと、トゥップライネンは説明する。 「工業化・都市化は、第二次世界大戦後に掲げられた福祉国家の建設と同時期に起こりました。女性が都市部で働くようになると、国がお年寄りと子どもたちの面倒を見る福祉制度を設立しました。1990年代にはすべての子どもたちが上限なしにフルタイムの昼間保育を受けられるようになり、女性の勤労参加をさらに加速させたのです」 この支援策が雇用に多大な影響を与えていることは、データを見ればわかる。フィンランドの就労率は15~64歳の男性で7