『1964年東京ブラックホール』(貴志謙介、NHK出版2020年6月27日)を読んだ。1964年とは東京オリンピックの年だ。本書のもとになったのは「NHKスペシャル 東京ブラックホール2 破壊と創造の1964年」で、そこに参加していた著者がその内容をさらに発展させてまとめたものである。 ●本書の内容本書の冒頭で1964年東京オリンピックの記憶は歪められていると指摘する。実は私自身は直接東京オリンピックは体験していないが、その後のことは記憶にあるので、「歪められ」、「美化された」東京オリンピックの記憶を植え付けられることはなかったので、本書で指摘されて、「ああ、そういえばそうかもしれない」と感じた次第である。 東京オリンピックおよび高度成長の時代は、夢や希望に満ちた時代のように語られることが多いようだが、本書は実際になにが起きていたかを莫大な資料とともに描き出す。第一章の「東京地獄めぐり」と
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