坂村健・東京大学教授が力を入れているのが,ユビキタス・コンピューティングの普及・推進だ。日本国内はもちろん,世界各地で進めている各種の実証実験を振り返りつつ,「日本発のインフラ・イノベーション」たるユビキタス・コンピューティングの可能性を語る。 (聞き手=ITpro発行人 浅見直樹,構成=ITpro 高下義弘,写真=栗原克己) 2005年から2006年にかけて,坂村教授は全国でさまざまなユビキタス・コンピューティングの実験に関わってきました。 特に力を入れているのは国土交通省の「自律移動支援プロジェクト」です(プロジェクトのWebサイト)。自律移動支援とは誰もが人の助けを借りずに,自分の意思で自由に移動できるようすることです。その実現のためのインフラとして,例えば道路や案内板にアクティブRFIDやパッシブRFIDを埋め込む。歩行者が持つ端末は,それらから場所識別番号を読み取り,ネットワーク