「夏に始まるはずだったマイホーム建築工事のメドがいまだに立たない」。埼玉県東部のベッドタウン、越谷市に住む富岡慶太さん(仮名、38歳)が、憤懣やる方なしといった表情で訴える。 その理由は、自治体に申請した設計図などの書類審査の結果が一向に得られないため。「建築確認」と呼ばれるこの手続きの遅れが、富岡さんのマイホーム計画を狂わせている。 富岡さんだけではない。今年6月20日以降、建築確認が得られずに着工の延期を余儀なくされているケースが、全国で相次いでいる。国土交通省によれば、新設住宅着工戸数は7月に前年同月比約23%減、8月は同約43%減と急速に落ち込んだ。 「出荷時期も未定」 混乱の原因は、今年6月20日施行された改正建築基準法にある。「姉歯事件」に端を発したマンションの耐震強度偽装問題を教訓に、国交省は建築確認の審査基準を見直し、運用を厳格化したのである。 「書類の誤字脱字でも再提出を