日銀による株式購入も一案 昭和天皇の玉音放送を聞くや、後に首相となる宮沢喜一氏ら大蔵省(現・財務省)の官僚は倉庫に走り、ほこりにまみれた英文タイプライターを引っ張り出した。以来、連合国軍総司令部(GHQ)と掛け合いながら日本円の価値復活に向けて奮闘し、4年がかりで円の対ドル・レートを360円と設定した。それから65年。円は15年前に続き1ドル=80円に向かっている。 ≪カネが回らない≫ 日本の敗戦後と現代を比べるのはむちゃなようにみえるが、ひとつだけ共通点がある。カネが回らないことだ。国の経済を人体にたとえるとカネは血液であり、循環しなければ死に至る。終戦から数年間、円は戦中の乱発で紙切れと化していたため、流れないのは当然といえる。 現在、円は価値も量も、上昇を続けている。日銀は「カネは十分ある」とみなしてお札を刷らない。 対照的に米国は2008年9月のリーマン・ショック後、ドル資金を大量