朝から晩まで赤ちゃんのオムツ換えに追われていた時期、私は毎日のように大丸百貨店前の「元町通1丁目」と書かれた交差点に立っていた。当時はすぐ近くのファッションビルの地下に、なぜか小さな子供たちの遊び場である「キドキド」がテナントで入っていたので、私たちは元町駅を出てまず大丸百貨店で弁当を買ったり屋上で豚まんを食べたりして遊び場へ向かう。帰り道はまた大丸をのぞいて元町駅へ、そんな小さな三角形を行ったり来たりする生活を送っていたのだ。だから今でもこの交差点に立つと、過ぎた日々を思い出してせつない気持ちになる。 キドキドが閉まるのが夜の7時。ビルを出るとすっかり日は落ちていて、私たちのような子連れは繁華街にはあまりいない。ここからは仕事が終わったサラリーマンや、連れ立って飲みに出かける若い人たちの時間だ。いつものように大丸の地下食料品コーナーで惣菜が割引になっていないかをチェックしに行く。そして百