2017年、坂本龍一はわれわれに新境地をのぞかせた。8年ぶりに発表した新作アルバム『async』では、雨や風の音、金属音、擦れや残響、朗読する人の声などをサンプリングし、“楽器で演奏していない音”を音楽化することに挑戦。一方、その楽曲を14チャンネルの音響システムで再現し、映像などの表現も組み合わせたインスタレーション作品「設置音楽」として、展覧会形式で披露した。現在、その「設置音楽」シリーズの続編で、『async』から続く一連のプロジェクトの最新版とも言える《IS YOUR TIME》が、東京・初台のICCで公開されている。 展示空間にはピアノ、LEDモニタと14チャンネルの音響を実現するスピーカー、そしてラジオも配置されている PHOTOGRAPH BY MASANOBU MATSUMOTO このインスタレーション作品を特徴づけるのは、真っ暗な空間に置かれた一台のピアノだ。天板には埃が