その“迷惑行為”がなければ彼女の人生は、いや、もしかするとクラブの未来も、変わっていたかもしれない。 「1年半くらい、何度も電話を掛けたり、手紙を書いたり、スタジアムに会いに行ったりして。今でいうストーカーですよね、完全に」 湘南ベルマーレで長く広報を務め、今は営業を担当する遠藤さちえは、25年近く前の出来事を振り返って、苦笑した。 当時、短大生だった遠藤が“ストーカー行為”を働いていた相手は、ベルマーレのチーム統括部長だった上田栄治である。のちにベルマーレやなでしこジャパンの監督、日本サッカー協会女子委員長などを歴任した人物だ。 そんな上田にアプローチを続けたのには、理由があった。 「どうしてもベルマーレで働きたくて。惚れ込んじゃったんです」 高校時代、遠藤はサッカー部のマネージャーを務めていた。運動音痴だけれど、スポーツが大好きな遠藤にとって、選手のサポートはぴったりの仕事に思えた。
![ベルマーレ伝説の広報・遠藤さちえ。最初はほぼストーカー、そして……。(飯尾篤史)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/d65589cfe04cecc29674638988b774ab94b15a7f/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fnumber.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F7%2Fa%2F-%2Fimg_7a94917da042e96bbbbd6370bddeaa7891505.jpg)