これ、自分は文藝別册のKAWADE夢ブックとして最近リリースされた半村良のアレみたいなものだと思っていましたよ。内容の方は相當に充実した一册で、單行本未收録作品として小説を七編、さらには遺稿「怨」、詩「棘」を冒頭に配し、三浦しをん女史と本多正一氏との妄想對談や、戸川、東両氏の特別對談など、中井英夫の信奉者であればマストといえる内容に仕上がっています。 収録されている小説はいずれも掌編といえるものながら、個人的にツボだったのは、バカミスにしてエロミスとでもいうべき「人魚姫」で、作品解題に本多氏曰く「モチーフもトリック(?)もいまひとつと云わざるを得ない」とありながら、自分のようなキワモノマニアにとってはまさに珠玉の一編とでもいうべきハジケっぷり。 女學院を舞台に、學内ではお姫樣のような扱いを受けている女生徒が近くの農家の娘っ子を部屋に呼びこんでは、夜毎エロいことをしているという噂をききつけた