日本人の研究者が中国の大学へ移るケースがじわじわと増えている。2015年から中国の復旦大学に所属している服部素之さんは「中国の大学は高給というのはよくある誤解。中国に渡る大学研究者の主な動機は給与の高さではない。日本の大学の研究環境の悪化が影響している」という――。 理系の基礎研究者が「中国の大学」を考えるように 上海にある復旦大学にて生命科学を研究している服部素之と申します。妻が上海人ということもあり、5年ほど前に上海に引っ越し、それ以来、こちらで研究と教育を続けています。 最近、世界大学ランキングや科学技術論文の質・量のランキングで、中国の大学が存在感を示しており、日本のメディアなどから問い合わせを受けることが増えてきました。本稿では、そのような中国の大学に関する話題の中から、私を含む在中の日本人研究者らからみた「中国の大学における昨今の大学教員採用」についてご紹介できればと思います。