2014年3月期決算で、3年ぶりに黒字化を達成したパナソニック。津賀一宏社長は2012年の社長就任以降、「中村邦夫会長(現相談役)-大坪文雄社長時代」の負の遺産を整理し、住宅事業と自動車事業に経営リソースを集中させるなど構造改革を進め、その手腕を評価する声も多い。 津賀氏は1979年、大阪大学基礎工学部卒業後にパナソニックに入社し、技術本部無線研究所(当時)の音声認識グループに配属された。経営トップに駆け上がる出発点になったのは、次世代DVDの規格統一争いで勝利したこと。パナソニック、ソニー、オランダのフィリップスなどはBD(ブルーレイ・ディスク)陣営で、東芝のHD-DVD陣営と真っ向から対立していた。BDは「記憶容量は大きいが高コスト」、HD-DVDは「容量はBDに劣るが安価」。津賀氏はBD陣営を代表して東芝と交渉した。規格統一交渉は決裂したが、ハリウッドの映画産業がBDを支持したことか